伽羅創記

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zoom RSS 秋晴れの上空で

<<   作成日時 : 2006/09/23 01:57   >>

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 ちょうど九月の今ぐらいではなかったか。五年ぶりに日本へ帰る飛行機が、ようやく北海道上空にさしかかっていた。雲一つない見事な秋晴れだった。太平洋側を飛んでいたが、日本海まではっきりと見えた。こんなほっそりした島国が、激動の国際政治の中でしのぎを削っているのかと思うと、なんだか痛々しいような気持ちが起こった。“日出処”の国は万遍なく濃い緑で、淡い光をはねかえす海に手弱女のように横たわっていた。
 森 有正が「バビロンの流れのほとりにて」の中で、大国主命の作とされる詩について書いていたことが思い出された。

「 八千矛の 神の命は 八島国 妻求(ま)ぎかねて
  遠々し 高志の国に 賢(さか)し女を 有りと聞かして
  麗(くは)し女を 有りと聞こして さ婚(よば)ひに 在り立たし
  婚ひに 在り通はせ 太刀が緒も いまだ解かずて
  襲(おすひ)をも いまだ解かね 嬢子(おとめ)の 寝すや板戸を
  押そぶらひ 吾が立たせれば 引こづらひ 吾が立たせれば
  青山に 鵼(ぬえ)は鳴き 真野(さぬ)つ鳥 雉(きじ)は響(とよ)む
  庭つ鳥 雞(かけ)は鳴く 慨(うれ)たくも 鳴くなる鳥か
  この鳥も 打ち止めこせぬ
  いしたふや 天馳使(あまはぜづかひ) 事の 語り事も こをば

 この古詩の格調は、太平洋の上空から遥かに望見した列島と、何という同質性をもっていることだろう。この遥かな映像には、南方諸島の毒々しい青黒さ、その汚れた海の水の色、メソポタミアの荒れ果てた砂漠、またキプロス島やアテネ、コリントのような硬い石の構図、また、西欧文明諸国のすきまのない密度の高さもない。それは豊かに、透明な光を帯びて、明るく、素直に長々と、等質に、青い空間に包まれて、延びている。そして、この詩の喚起する映像とその色調とは、一分の隙のなく、その生まれた列島について私がもつ心の映像と合致する。」

 あの時私は、森 有正と同じものを見ていたと確信する。

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