伽羅創記

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zoom RSS 泣いているのは誰

<<   作成日時 : 2009/12/14 13:28   >>

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  いただいた出雲大社の御札は額に入れて、家の一番高いところへ祀った。銀縁に一番好きな紫を敷いたら、まぁ格調の高いこと、さすがは出雲大社だ!一気に部屋の雰囲気が変わった。大国主命がおわしまするということは、部屋も汚くしてたらイカン、いつまでもダラダラ寝てるのもよくない、これに相応しい人間になれるよう精進しようという気持ちになる。結局、こういうことが神仏から与えられる一番の力なのだと思う。

 御札を祀った夜、眠りに落ちるでもないうつらうつらしたステージで声を聞いたように思った。
「かわいそうに、今までどこへ行っていたのだ」
 ああ、大国主命かな。確かに、私は霊的に漂流していたのだろう。大国主命はやさしいなと思った。そうしてまたうつらうつらしていたら、今度は「お母さんに会いたい。お母さんに会いたい」という声がした。はじめ、自分のインナーチャイルドが言ってるのかと思ったが、どうもそうではない気がする。思い出すことがあった。母親から聞いた話だ。

 私の母親の実家は、東北の古い城下町にあった。女子高に入ってすぐ、隣の席の子と親しくなった。かなり慕われていたらしい。旧家の娘で、一度遊びに行ったことがあるが、暗く陰気さが漂う家だったという。彼女は精神不安定の気があったようだ。
 ある時、彼女はひどい混乱を起こし、逃げるのを捕まえられて病院に連れて行かれた。たまたまその場にいた私の母親は、彼女のお母さんと一緒に病院へ行くことになってしまった。暴れるので医者が注射をしたら、とたん昏睡に落ちた。彼女のお母さんから、娘の着替えなどを持ってくる間ここにいて欲しいと言われ、私の母親は眠っている友達のつき添いをすることになった。結局、7、8時間も待つことになったのだが、なにしろ場所が精神病棟であった。固まったようにベッドに座って床の一点を見つめ続ける患者、雪の降り出しそうな空の下、色鮮やかな原色のきもので塀に囲まれた庭をさまよう坊主頭の若い女、それに向って窓から動物のような奇声をあげる男など、およそ普段の生活では見られない光景ばかりで、ショックをうけたそうだ。
 一人、盲目の少女がいた。同じぐらいの年頃に見えたという。その子が言うには、自分は頭がおかしいわけではないが、ここに入れられている。時々、お母さんが会いに来る。お母さんが自分を家に連れて帰ってくれるのを待っている、ということだった。話しぶりから、その子が精神を病んでいるようには思えなかったため、私の母親は痛く同情して、「そう。早くお母さんが迎えに来てくれるといいわね」と言った。
 それからほんの一時、その少女はいきなりぶっ倒れて、口から泡を吹いた。看護婦が飛んで来て介護するのを見て、彼女が癲癇持ちだとわかった。「お母さんに会いたい。お母さんに会いたい」と嗚咽する少女を見て、私の母親は自分がお母さんを思い出させるようなことを言ったために、その子をよけい悲しませることになってしまったと、ひどく後ろめたかったそうだ。
 
 少女が精神を病んでいたのかどうか、わかりようもない。病んでいてもいなくても、そのあわれな話は北国の陰鬱な空の色と重なり、私の記憶に刻まれた。
「お母さんに会いたい」と泣いているのは誰なのか。盲目の少女の声をかり、母に会いたがっている無数の子供の嗚咽を聞いているようで、ひどく揺さぶられる。それとも、母親にした親不孝を嘆く私自身の声なのか。大国主命は何かを指し示しているのだろうか。わからない。マジで泣きそう。





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コメント(4件)

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大国主命は、何度かお母様に命を助けられています!
「お母さんに会いたい」と叫んだのは、もしかしたら
大国主命のお言葉?

盲目の少女のお話が切ないですね。「シンドラーのリ
スト」を最近DVDで観ました。やはりその中で少女
が出てくるのですが、過酷な人生を生きたユダヤ人の
子供達を思うと、「母に会いたがっている無数の子供
の嗚咽」という表現も真理だと思ってしまいますね!
冷おろし
2009/12/18 21:04
>「お母さんに会いたい」と叫んだのは、もしかしたら大国主命のお言葉?

そのケースがありましたか!知りませんでした。うーむ、深いですね。
「シンドラーのリスト」は公開当時、ベルリンで見ました。少女が一人で歩くシーンはよく憶えています。一緒に行った友達と涙をぬぐいました。
カラビ
2009/12/19 10:13
カラビさんお元気?
そうね、供養されていない子達かもしれないわね。私はこれからもいろいろな人を供養していきたいわ。きっとあの世で喜んでいてくれるでしょう、、
私もシンドラー見たわ、感動よね、泣いたわ、
MASU
2009/12/23 16:46
>MASUちゃん
盲目の少女は、もう亡くなっているかも知れませんね。彼女はお母さんの顔を知っていたのかな。
明日はクリスマス、すべての子供たちを祝福してあげたい気持ちになるね。
カラビ
2009/12/24 01:07

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