伽羅創記

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zoom RSS 春の嵐 去りて花

<<   作成日時 : 2012/04/28 13:18   >>

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  天気が荒れて船が出ない恐れがあるというので、予定より1日早く隠岐を出た。米子に一泊し、翌日飛行場へ行くと、なんと羽田行き便がことごとくキャンセルになっている。カウンターで聞けば、東京の方はけっこう強風が吹いているという。次の日、実家でどうしてもはずせない用事があったので焦った。
「これから嵐が南下してくるようです。今日の飛行機は難しいところですね。もし何でしたら、新幹線の方がいいかも知れません」
「うーむ...」
 20分ほど考えた。こういう時はグズグズしているとさらに事態が悪化するものだ。今日は飛行機は飛ばないと判断し、私はチケットを払い戻ししてもらって、岡山から新幹線に乗ることにした。
 空港駅で電車を待つ間、雨が降ってきた。風も強くなり寒かった。やはり地元の人のアドバイスに従い、昨日のうちに隠岐を出ていて正解だった。この分だと今日は高速船どころか、フェリーも出なかったかも知れない。(後で西ノ島のニコラさんから、あの日は7mの波で船は2日間出なかったと聞いた)
 米子行き電車が来た。乗ったら座席も天井もゲッ、ゲッ、ゲゲゲのゲ〜。なんなんだ、コレ?
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 電車の外も中もゲゲゲ・ファミリーだらけ。いつからこんなことになったんだぁ? それだけじゃなかった。車内アナウンスは目玉親父が「次は、三本松口駅です」と素っ頓狂な声で言った後、砂かけばばあと思われるしゃがれ声で「暗号名は、そでひき小僧駅じゃ」ときた...。いやさぁ、キャンペーンみたいに期間限定でやってるならいいけど、これは100年も歴史に残るようなものにはならんだろう。日本人の、それもゲゲゲのファンだけじゃないのか、喜んでるのは。



画像 米子駅に着くと、岡山行き特急が運休だのなんのと言うのでやきもきしていたら、なんとか次のが出ることになりほっとした。うまく行けば、夜には実家に帰れそうかな。
 特急の窓から見える空は曇り時々晴れで、天気はそんなに悪くはなかった。途中、車内アナウンス(これは目玉親父じゃありません)で大山(だいせん)が紹介された。美しい!残雪の筋が鳥の羽のようにも見えて綺麗だ。大山は平安時代にもその優美な姿で和歌に詠まれたそうだ。アクシデントのまわり道で思わぬ見つけものをした。

 大山が見えなくなってしばらくした頃、新見という駅で強風のため電車が止まった。大阪弁の乗客が、新幹線が止まっているらしいと話していた。運転再開のめどが立たないまま2時間、結局シャトルバスが岡山まで出ることになった。今日中に帰れるだろうか。ヤバくなってきた。こりゃあ岡山で一泊か。
 高速道路を走って、岡山駅に到着したのが夕方6時過ぎ。腹ペコだったので何か食べる物を買おうと思ってたら、東京行き新幹線が今から発車するというのでアタフタ飛び乗った。すし詰め状態、ドア脇の隙間にかろうじて身を寄せた。
 それでも新幹線が再開して良かった、やれやれ、とみんな思っていたのも束の間、姫路の手前で電車は止まった。アナウンスがあったけど、強風のためとか先の電車が立ち往生してるからとか、よく状況を把握してないみたい。いつまで経っても動かない。もしかしてこれってゲゲゲ・ファミリーの怒り買ったのかも。あたしゃ今回の旅行で事あるごとにゲゲゲを莫迦にしたからなぁ。今さら取ってつけたようだけどゴメン、と言っといた。(全然心こもってないし)
 なんだかんだで1時間半、よくやく運転再開。新大阪でやっと席に座れて、あとは東京までぐったり。車内サービスもないし、もうヘトヘトだよ。トホホ...
 結局、家にたどり着いたのは夜中の2時でした。でも春の嵐の中、なんとか帰還できた。われながらよくやった〜。ちょっとしたテンペストって感じ。過ぎればこれもまた、いい話のタネになりまする。



画像 今年は例年より桜の開花が遅れていたが、日本を出る日は春爛漫の陽気で、東京では満開にさしかかっていた。浅草へ行ったら、春休み中のためすごい観光客。あんまり混んでるもんで、雷門くぐって仲に入る気がしなかった。人形焼と記念撮影だけ。

 この後、上野の山へ一目桜を見ようと向かった。満開の桜並木、やっぱり綺麗だ。久かたぶりに日本で見る桜、いいねぇ!

 今回の帰国で印象に残ったこと。実家は寒かった〜 寒い寒いと炬燵にへばりついていたら、「ここで育ったんじゃないの」と母親に言われた。冬が厳しいニューヨークで密閉性のいい家屋にぬくぬくと慣れた私には、室内気温8℃とか寒すぎましたです。
 何度か少ないレパートリーの中から夕飯を作ることがあった。そんなことやったことないので、家族から驚かれたけどけっこう喜ばれた。
「夜、爪を切るもんじゃないよ」、「旅立ちの前は、お茶飲んでいくもんだよ」と言う叔母に、10代の頃は何言ってやがんでぇ、と反抗ばかりしていた自分を思い出し、「そうだね、そういうことって大切だよね」と決まり悪げに頷いた。
 今まで二人だけでいることなどほとんどなかった父親と話す機会があった。この年になって話せることわかること、私はこんなところは父親に似ていたのかなどと、意外と知らなかった家族のこと。
 あまり頻繁に連絡を取り合う間柄ではない妹も、空港行き電車のプラットホームまで見送りに来てくれて、見えなくなるまで手を振っていた。
 こうして時が経ち、喧嘩ばかりしていた家族も、お互い年とったなぁとか、気をつかってるなぁ、と思いながら、それぞれの家に、一人ひとりに思い出があり、多少照れながら、お互い心の中で了解する。きっと、そういう風になってゆくのでしょう。

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  さまざまの こと思ひ出す 桜かな    松尾芭蕉
  

      
 

 
 
 

 



 






 

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
ゲゲゲと嵐の洗礼を受けた、帰国後半はドタバタ劇だったのですね。
しかしちゃんとご自宅へ、そしてNYへお帰りになれて本当に良かったです。
読みながら私も、当時の天気を思い出してハラハラしました。
しかし境港はゲゲゲ徹底してますね〜。
松江と言えば小泉八雲ですが、八雲の場合ここまで派手にはやってないですね(笑)
もっともラフカディオ・コーヒーとか、ホテルが期間限定でクレオール料理をコースで出したりとかは以前ありましたけど…。

そんなこんなの中、大山の美しさと桜の美しさに救われた心地がします。
真奈
2012/04/30 09:57
真奈さん、こんにちは。
私の帰国はなにかしら遭遇することがよくあります。9.11テロの時もNYへ戻る飛行機に乗ってたし、その他、身内でなにかあるとか(幸い大事には至ってませんが)今回もこんな天候に見舞われたり、行くとこ行くとこ何か起きるマッハ・ゴーゴーみたいですわ。(古い!)

大山は本当に美しい山ですね。雪が残ってるのがまた良かったのかも知れません。生きてるうちに一度見ておけてよかったです
カラビ
2012/04/30 11:14
ご家族皆さんがお元気で何よりです。
飛行機ではなくて陸路になり、すし詰めの新幹線とか、
しっかりと日本を大満喫ですね!
その日に自宅に戻れてよかったです。
それにしてもお疲れ様でした!!

目玉のおやじのアナウンスは力が抜けちゃうかも・・・(でも、水木しげる史はムサビの大先輩なのよ〜!)

私の場合、実家に帰ると喘息発作がでます。
たぶん泊まる事はできません。
そこで育ったのに・・・

素敵な旅行記、読ませていただき、ありがとうございました。
充実の時間を想像しながら、ワクワク、うきうきしました。

それにしても。
妹さんがいらしたんですね・・・

にしゆみ
2012/05/01 12:42
>にしゆみさん
まさに、花も嵐も踏み越えて〜♪でしたわ。まぁ過ぎてみればいい話のタネです。

>水木しげる史はムサビの大先輩なのよ〜!
あ、そうだったの?知りませんでした。

妹とは久しぶりに会って、お互い年とった分さりげなく気遣いを見せたり、寛容にもなれたかなって感じでした。元気でやってるようでなによりでした。
カラビ
2012/05/02 10:16

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