伽羅創記

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zoom RSS もう一度会えたら

<<   作成日時 : 2012/08/14 10:51   >>

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 浴衣を着るイベントがあった日、駅から家へ帰る途中、声をかけられた。
「きれいですね」
 えっ? 5、6歳の男の子を連れたムスリムと思われる服装の女性だった。
「浴衣、きれいですね」
 凛と澄んだ声は、ネイティヴの日本語である。
「ありがとう御座います」
「素敵です」
 夜でぼんやりしていたが、ヒジャブ(髪を被うスカーフ)を着けた、色の白い目の大きな綺麗な人だった。年の頃は30代前半、微笑む口から歯列矯正のブラケットがのぞいていた。

 回教徒と結婚した日本人女性だろう。けっこう戒律の厳しい宗派なのかな。もしかしたら、もう浴衣を着て出歩くこともないのだろうか。子供に自分もあんなコスチュームを着たことがあったのだと教えたかったのかも知れない。
 勝手にそんなことを想像をしてたら、ひと恋しさに似た気持ちがこみ上げてきた。立ち止って言葉を交わせばよかった。すましてないで。ふり返った夜の往来に、もう彼女の姿は見えなかった。
 もし、もう一度会うことがあったら言いたい。
「よかったら今度、浴衣でお茶でもしませんか」

 今年の七夕は8月24日となっている。梅雨の明けない7月7日じゃ、雨の降る確率が高い。七夕は涼やかに星の散る旧暦の方が絶対いい。きっと浴衣がよく似合うだろうあの人にもう一度会えるよう、お願いしてみようか。
 






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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
カーラビンカさんにも、詩のように素敵な出会いがあったのですね。
その女性も、浴衣姿のカーラビンカさんと思いがけずすれ違って、郷愁の想いが思わず言葉となって出てきたのかもしれないですね。
細やかだけど鮮やかな記憶となって、彼女の心の中にカーラビンカさんの姿が残っていることでしょう。

今度会えたら、本当にお茶に誘ってみてくださいね。

私も出勤途中の暑い夏の朝に、橋の上で落語家さんと出会い、思いがけず知り合いになりました。
そして時を待たずして彼の高座を聞きに出かけるという、怒涛のような一か月になりましたよ(笑)

人生って不思議で味のあるもんだなあ…と思います。
真奈
2012/08/25 07:59
真奈さん、こんにちは。
そうそう、素敵な同性の人と知り合うのっていいですね。話もはずむし。
落語家さんと橋の上で?それはまた、それこそ落語に出てくるような出来事じゃないですか。どんどん高座へ行って、美容と健康のためにも思う存分笑いましょう!
カラビ
2012/08/25 10:49

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