伽羅創記

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<<   作成日時 : 2015/06/17 14:49   >>

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 ある用件で書いたものだけど、けっこうよくまとまっていると思うので、ここに残しておこう。
 
  【日本の地方創生、あるいは地方再生】

  京都大学の藤井聡教授が何年も前から提案している日本の列島強靭化と地方創生構想は、2020年東京オリンピックとの相乗効果につながるポテンシャリティを感じさせる。構想の中でも喫緊の最重要プロジェクトは、東京―名古屋間リニア新幹線開通を大阪の商業センターである梅田まで同時に開通させることだ。東京から直通リニアを通すだけでなく、現在過疎化が進む地域が多い日本海側の地方都市、特に北陸と大阪を繋ぐ路線も敷くことで、大阪を中心とした関西大経済圏が形成されていく。その結果、万が一、直下型地震などの災害で東京が致命的ダメージを被っても、大阪が東京、ひいては日本全体を支える力をもつ都市となるなど、どれも今の日本に必要な、実現性のある地方活性化のための公共事業と思われる。

 日本が明治の短期間に驚異的な速さで西洋型近代化を遂げた大きな理由の一つに、中国をはじめ他のアジアの国々が強力な中央集権体制であったのに比べ、日本は藩制で地方分権がよく機能していたため、経済活動の大動脈である交通インフラ整備が容易にできたことがあった。そんな日本だったのに、今や人・金・モノが東京へ一極集中する流れができてしまっているように見える。地方の産業空洞化が問題にされるようになったのはいつ頃からだったろう。時期は正確にはわからないが、注目すべき点を挙げると、太平洋側に比べ日本海側は人口減少の進む地域が多く、さらにそれは新幹線が通っているか否かに関係している。経済活動も人間の身体と同様、血(物流)のめぐりが悪いところは冷えこむということだろう。

 島根県松江市に、私がとても気に入っている旅館がある。古風な造りで料理は美味しく宿泊料がリーゾナブルな上、古都にふさわしい品のよいご夫婦(最近は息子さんも手伝っている)が実に感じのよい接待をしてくれる。過去2回ほど泊ったが、いつもヨーロッパ人の宿泊客に会った。1度目はドイツ人夫婦、2度目はフランス人のカップルで、どちらもその旅館に大満足していた。聞くと、ヨーロッパからは、口コミで予約が入ることが多いそうだ。
 ヨーロッパ人は個人旅行を好む傾向が強い。ツアーコンダクターに引率されるのではなく、自分で地図を広げて計画を立てるのが旅の醍醐味なのだ。特に若者は節約旅行の達人である。ホテル代の高い日本で、東京山谷の日払い宿泊所にいるのは、一時日雇い労働者とヨーロッパから来た若者ばかりだった。
 ヨーロッパ人でそこそこ金を落とすのは、中年以上の旅行者である。そして彼らは東京よりも地方の旧城下町に行きたがる。京都は言うまでもないが、松江、金沢、倉敷などはわれわれが思っている以上に彼らの間では評判の場所だ。実は若者もいろいろ足を伸ばしたいと思っているのだが、これらの都市は交通手段が限られているため、訪れるとなると日数がかかり、滞在にかかる費用がかさむというネックがある。もし大阪から北陸、山陰へのアクセスがもっと楽になれば、地方へ観光に行くヨーロッパ系の旅行者は増えるだろう。差別するわけではないが、松江のような典雅さを慎み深く湛える街の良さがわかる外国人にこそ、より日本を知って欲しいと私は思う。

 日本に住むなら地方のこじんまりした街の方がいいという外国人は意外と多い。自分の住む土地の人々との交流を望む欧米人は、下手な日本人より多いように見える。彼らの良いところは、自分の住むコミュニティに愛着を持ち、すすんで奉仕活動する気持ちがあることだ。そういう外国人は日本人との交流を通して日本の文化を理解し、自分の母国や海外に個人外交的に発信するようになる。どうせ外国人が移住してくるなら、日本にとって良い影響、効果を期待できる人達であるべきだと思う。そしてそういう地方の魅力的な街ができると日本人自身も目を向けるようになり、それに伴い商業市場も増えていくだろう。
  
 交通インフラの発想は、いかに首都(東京)へ行きやすいかではなく、いかに自分のいるところへ人・物・仕事を引っ張ってくるか、に変わるべきだ。同時に、地方都市の内部の交通手段(電車・バス・トラム)も充実させる必要がある。欧米で車社会なのは米国とオーストラリアぐらいで、ヨーロッパの都市は伝統的に城下町の限られた面積の中で生活の利便性を高めてきた。その点、日本とよく似ている。
 都市の魅力はなにより、その土地に住む人の文化度にかかっている。日本には、各地の藩が故郷(おくに)自慢をしていた豊かな地方文化の歴史と知恵がある。日本は地方創生というよりも、地方再生と言う方がふさわしいのではないだろうか。

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