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zoom RSS 佐渡 −晩夏夢語り 1

<<   作成日時 : 2016/08/24 20:08   >>

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  わが叔父御 が故人になり、はや4年が経つ。私はニューヨークで訃報を受け、葬儀には出られなかった。帰国したら墓参りに行こうと思っていた。叔父御の墓は佐渡ヶ島にある。
 今は上越新幹線で群馬県の高崎から新潟まで75分程度になった。「国境の長いトンネル」の時代は遠くなって久しい。

画像 新潟港から佐渡の両津港まで、カーフェリーで2時間半の旅だ。高速船のジェットホイルなら1時間だけど、私は甲板に座っていたいのでフェリーに乗る。最後に佐渡へ渡ったのは、20年前の大晦日だったかな。あの時も船の甲板で、ずっと真冬の日本海の風に吹かれていたっけ。
「ほぉ、お前は俺と同じなんだな。俺も冬でも甲板に座るよ」
 両津港へ私を迎えに来た叔父御が言ったのも思い出す。
 だが、なんといっても夏の佐渡が最高だった。それは多分に叔父御のお陰だ。叔父御一家が埼玉県南に住んでいた当時、夏休みに奥さん(義叔母)の実家がある佐渡へ連れて行ってもらった。叔父御夫婦もまだ若く、従妹(いとこ)たちも義叔母の弟妹も子供だらけで、楽しく遊ぶことにかけては天才的な叔父御に引率され、みんなで海へ行き、遊覧船に乗り、降るような星空に花火を上げ、美味しいものをたらふく食べた。私にとって、佐渡は幸福な想い出ばかりに満ちている場所だ。子供時分の記憶は、目も眩む真昼の波濤の彼方、その島影の碧さが濃くなってゆくにつれ、いまだ私の血を沸かせた。



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 叔父御一家の家は、大佐渡小佐渡の両山脈にはさまれた国仲平野のちょうど真ん中あたりにある。叔父御亡き後、義叔母と従妹弟二人が家業の接骨鍼灸院を切りもりしている。
 着いて早速、近所の森の中にある加茂神社というところへ行ってみた。杉木立の中に現れた鳥居から拝殿へつづく参道は、草が伸び放題になっていた。
「あの神社、ちゃんと手入れすれば、たいそう立派なものになるがなぁ」と叔父御は言ってたそうだが、確かに荒れてはいるものの、木彫の飾りなどは見事なものが残っていた。





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 面白い狛犬発見! 口の中に玉を咥えているの、見えますか。 佐渡特有のものらしい。













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 加茂神社には能楽堂がある。参道入り口に、今月夜能を催すお知らせポスターが下がっていた。演目は「海人」。荒れたる庭の露しげきに、月明り照らす夢幻能か。ああ、いいな〜ッ! 日にちが合わず観劇叶わないのが残念でならぬのぅ。










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 翌朝、五時半に太鼓の音で目が覚めた。この町には安寿と厨子王の物語に縁(ゆかり)の安寿塚があるそうで、この日は「安寿天神まつり」と名うった夏祭りの日だった。家の玄関前には、町内の若衆による鬼太鼓(おんでこ)と獅子舞が来ていた。
 ここの鬼太鼓、リズムとかけ声がものすごくカッコいい 鬼が家の玄関に飛び込み、「そら来い、そら来い!」と外から呼んで、跳ね回りながら出てくる。おそらく鬼が家の厄をつかまえて外に出すのだろう。なかなか見ることのできない貴重なものだった。誰とでもすぐ仲良くなるわが叔父御は、この土地に来て早々、安寿天神まつりで御輿を担いだそうだ。得意顔で音頭を取る姿が目に浮かぶ。





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