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zoom RSS 会津若松、彼岸花の頃

<<   作成日時 : 2016/09/30 23:59   >>

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  八月の佐渡の叔父御の墓参りにつづき、この秋の彼岸は父と一緒に、母方の祖父母の墓参りに会津若松市へ行って来た。私は小学生時分、夏休みはほぼ毎年、会津若松で過ごした。最後に行ったのは祖父の一周忌で、あれから三十年以上経っていた。


画像 父と高速道路を半分づつ運転し、正午に会津若松に到着した。父が母と一緒に最後に墓参りに来たのは七年ほど前で、墓所のある霊園への道はうろ憶えだったが、それでも私よりは全然土地勘があった。私の目に映った会津若松は、記憶にある城下町ではなくなっていた。
 祖父母の墓所は、市が一望できる高台にあった。足腰が弱くなってしまい、介護ホームにお世話になっている母が一緒に来られないのは残念だったけれど、私が帰国の報告に来たことを、会津のじいさまばあさまはきっと喜んでくれたと思う。母の兄弟はみな亡くなってしまっている。血縁者で墓参りに来られるのは、今や私だけになってしまった。



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 祖父の葬儀の時、彼岸花が咲いていたのを思い出す。彼岸の最中に亡くなった人は、仏に導かれ西方浄土へ行くという。墓石を見ると、なんと翌日の九月二十五日がじいさまの命日だった。やはり、来るべくして来たんだなぁ。
 このあたりは十二月に入ると雪が積もりはじめ、春の彼岸も雪に埋もれているから、墓参りに来られるのはお盆と秋のお彼岸だけです、と霊園事務所の人が言った。雪かきは骨が折れるとよく聞いた。会津の人は冬の間中、雪と組み合うようにして生きているのだろう。







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 街中からちょっと外れた奴郎ヶ前という場所に、お秀茶屋という囲炉裏で焼いた田楽で有名な店がある。ここの田楽は味噌がとにかく美味い!特に餅は絶品で、子供の頃から大好きだった。
 母の話では、昔々男子学生達が雪の中、腹を空かせて食べたノスタルジアの味で、会津の生まれでもないのにお秀茶屋〜お秀茶屋〜と騒ぐ子供の私は変だとよく言われた。






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 今、田楽を焼いているのは、元祖お秀さんのお孫さんだろうか。











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 ここは改装もせず、煤をかむった店内も昔のままだった。田楽は餅、豆腐、ニシン、里芋。味噌も昔のままの味だ。やっぱり美味いわ〜、私の会津のノスタルジアだ!




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 会津若松では毎朝、祖母と一緒にお城(鶴ヶ城)へ散歩に行った。そう、蓮の咲く大きなお掘りがあって、そこにかかる赤い欄干橋を渡った。

 









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 城内にあるお稲荷さんにも、毎朝祖母と二人でお詣りした。母は女学校時代、試験の日はこのお稲荷さんにお詣りしてから登校してたみたいだ。
 昔は社の裏手はもっと鬱蒼としていた。階段の両側に長い竹竿の旗が何本も並んでいて、時々風もないのにギィッ、ギィッ、と音をたてて揺れることがあった。そんな時、祖母は「お稲荷さんが返事をしているよ」と言うのだった。






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 会津祭りの前夜祭で、お城にはたくさん人が来ていた。庭で楽隊の演奏や踊りもやっていた。私はこんなにぎやかな鶴ヶ城というのは初めてで、なんだか妙な感じがついて回った。
 私がもつ会津のイメージは、武士の気風を受け継ぐ厳格で質実剛健を重んじ、浮かれたものとは正反対にあるもので、それは教職に献身した祖父のひととなりにも重なっていた。だが、祖父は年に一度来る孫の私や妹に、厳しい冬などおまえ達は知らなくていい、夏の歓喜わき立つ会津を存分に見せようと、明治と刺し違えて逝った少年たちの眠る飯盛山、からくり不思議なさざえ堂、緑深い院内御廟、提灯のあかりに縁どられた駅広場の盆踊りへと私達を連れて行った。もしかしたら、会津祭りで賑わうお城へも私達を連れて行きたかったのかも知れない。そんな気がする。









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 会津若松駅前の標語、会津武士の心得だ。会津のじいさまも、こういう人だった。そういうじいさまを持っていたことを、私は今、心から誇りに思う。
















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 お城の出店で、赤べこを見つけた。この赤べこの持つ素朴なあたたかみは、遠くから私を愛(いつく)しんでくれた人々のまなざしのように懐かしさばかりで、私を呼ぶ会津弁の響きがむしょうに恋しくなる。










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 雨空で、磐梯山の山頂は雲に蔽われていた。旅の雨は祝福の雨といわれる。喜んでくれているんだ、きっとね。私は来年の彼岸、また会津若松へ来る。







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