親子でコラボ

roof1.JPG 4年前に米国から帰国し実家に戻った時、トタン屋根の錆どめが剥げているのを父が直した。直したといっても上から錆どめを重ね塗っただけで、市販のものを買って急場しのぎ的にやったものだから、しばらくしたらまた割れて剥げてきた。今回、しっかり下地から塗り直そうということになって、古い錆どめを全部剥がすことにした。
 業務用の強い剥離剤を買い、晴天から照りつけるトタンの上で、父と一緒に浮いてきた錆どめをヘラでカリカリ剥がす。幾度となく重ねて塗っていたから、剥がすのにえらく時間も手間もかかり、週末だけとはいえ3週間もかかっている。
 思えばこの屋根も、40年ぐらい経つのではないか。私は30年以上、実家を離れていた。その間、父は幾度屋根を塗ったのだろう。トタンにこびりついた頑固な赤茶色の錆どめを、ヘラで擦り取る。ゴム手袋の中の指が、早々に痛くなった。なんだか長い不在を咎められているようでもあり、私は意地になって一瞬ヘラに力を入れる。父も、黙々と剥がしている。麦藁帽子の影が、短く小刻みに揺れていた。日曜大工、親子でコラボは初めてだ。


roof2.JPG 両端からはじめて屋根半分ぐらいを剥がし終わったところで、新しく錆どめを塗った。それが充分乾いたところで、ペンキを塗る。色はシルバーにした。太陽光を反射し、熱が籠りにくい色がいいと思ったのだ。塗装店の人にも、いい色だと言われた。(最終的に、ペンキは二度塗りする)
 この一連の作業に、父は珍しく張り切っている。これぐらい丁寧にやっておけば、10年近くは大丈夫だろう、次はお父さんはいないから、おまえ一人でやるんだなぁ、フフフ... なんだ、面白そうに?あと一回ぐらいコラボしようぜ。父は目を細め、小さく首を振った。
 化粧直しされた銀の屋根は空を映し、色が微妙に変化する。塗装店でこの色を選んだ時、そんなので大丈夫かと訝っていた父は、作業も終わり、暮れ方の薔薇色を仄かに反映した屋根の端を見つめ「不思議な色だなぁ」とまんざらでもない様子であった。

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