伽羅創記
逸脱者たちの円形舞台
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作成日時 : 2008/06/09 12:36
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今日、ビッグアップル・サーカスを観に、炎天下の中、ちょっとした遠出をした。去年の秋に、METの横にテントを張ってやっていたのを観た。今回新しい出し物かと思ったら、去年と同じものだった。なんでも、ビッグアップル・サーカスは誕生して30年なのだそうだ。このサーカスはその名の通り地元NYのサーカスで、ヨーロッパスタイルの名残をとどめ、ノスタルジックな雰囲気がある。
ひとはサーカスという言葉に、懐かしさとうら哀しさが混在した響きを感じる。私もその口だ。何故だろう。フェリーニ映画のインパクトが強いのだろうか。サーカスに郷愁・哀愁を感じるのは、フェリーニ映画を見る前からすでにそうだった。語弊を恐れずに言えば、フェリーニ映画は「そう、サーカスってこういうものだよね」という共感が映像化されたようなものだ。
昔からサーカス芸人には、ジプシーが多かった。軽業、曲芸、馬使い、音楽隊という見世物稼業(エンターティメント)と旅をして回る特性は、まさにジプシーのものである。だが見世物稼業は、ジプシーだけではない。畸形に生まれた人間もそうだった。彼らには見世物稼業ぐらいしか、生きる選択がなかった。サーカスは社会の周辺に追われた者たち、逸脱者の集まりなのだ。
芸人たちは円形舞台で、華やかに拍手を浴びる。キリスト教では邪である魔女や魔法使いも、この時ばかりは手放しで喜ばれる。逸脱者が主役の世界は、社会に場所などない。だから移動しつづける。円を描きながら。
私たちは知っている。サーカスはいつかまたやって来ることを。あのこみ上げるほどの懐かしさと一緒に、円を描いてサーカスはやって来る。
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