伽羅創記

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zoom RSS 建仁寺垣と凌霄花

<<   作成日時 : 2016/07/12 22:07   >>

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  駅前通りに面した実家は、建仁寺垣(けんにんじがき)という竹の垣根になっている。庭いじりが好きだったばあさまが趣味で建てたものだが、7、8年に一度は竹を新しくしなければならない手間と費用がかかって、結構な道楽物だ。今年、あちこち傷みが目立つようになり、もうすぐ夏祭りだというので、叔母が庭師を頼んで総取り換えしてもらった。

画像 帰国して実家に身を寄せている手前、私も費用を分担せねばなるまい。特別に作ってもらうものだから、高くつくのかなぁ...手がけてくれる庭師は、先代から頼んでいる旧知の職人さんだ。
 縁側でお茶を出して、うまそうに煙草を吸っているおじさんに叔母が費用を聞くと、思っていたよりずっと安い値段でいいと言う。
「えっ、おじさん、儲け分はありますか?」 私は思わず聞いてしまった。おじさんは真っ黒に日焼けした顔で「大丈夫さ」と笑った。
 息子さんと二人で、2日かけて作り直してくれた。午前と午後に一度づつお茶を出して休んでもらう。母も庭に凝っていて、ばあさまとは嫁姑で趣味が合っていた。裏庭の石灯篭は、二人の注文でおじさんが探してきたものだと聞いた。

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 私がこの家を出てから、何回ぐらい垣根の取り換えをしてもらったのだろうか。竹をプラスチック製で代用すれば安く上がるのはわかっている。でも、やはり本物の竹だからこそ情緒があるのだ。実家もいつどうなるか、先のことは何もわからないけど、私もできる限り、うちの垣根を維持していきたいと思った。建仁寺垣をつくれる職人も、おそらく時代とともに少なくなっているのだろう。錦樹園のおじさん、息子さん、これからもできる限りお願いします。



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 竹を新しく取り換えた建仁寺垣は、梅雨の合間の青空に素晴らしく映えた。いろいろよくやってもらったので、叔母は少し謝礼をつけて渡した。小さい町のコミュニティというのは、昔々からそんな風に人々の間で持ちつ持たれつしながらやってきたのだろう。
 垣根を追い越して凌霄花(ノウゼンカズラ)が咲いている。やはり青空に素晴らしく映える珊瑚色のこの花を見ると、夏の記憶がよみがえった。ばあさま、センスよかったんだなぁ。そう、わが家は建仁寺垣が自慢の家だった。




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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
私の実家の庭でも、今ノウゼンカズラが満開です。
庭の手入れは軟十年も同じ植木屋さんにお願いしていますが、すでに代替わりし、なじみの職人さんがいなくなったと、今年92になった母がこぼします。
仕事の合間に縁先で一緒にお茶を飲みながら話をする時間が楽しみだったのでしょう。建仁寺垣、美しいですね。竹という素材の魅力に、今更ですが驚かされることの多いこの頃です。青竹の色が落ち付いたら、またひと味違う趣になるのでしょうね。
aosta
2016/07/19 07:24
久しぶりに帰って来て、あらためて竹垣のよさに感じ入りました。費用がかかっても維持したかった祖母や母の気持ちが少しわかりました。まだ職人さんがいてくれるのは、嬉しいことです。
カラビ
2016/07/19 21:56

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