櫻狩

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  4月に入って気温の上がらない日が幾日か続いたため、桜の花のもちがいいようで、この辺りはちょうど入学式に満開となった。私が小学校へ入学した日は、桜が咲いていただろうか。
 


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 錦心流琵琶一水会の4月演奏会、お江戸両国亭にて。琵琶は春と秋、特に春の歌には事欠かない。花は桜木、桜花、花吹雪、この日も「櫻狩」を演奏した方がいた。ベテランの先生で、とても優雅な調べだった。
 










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 トリは私達の先生、演目は「石童丸」。この季節は秋ですけどね。先生の琵琶は半音半間、吟変りがたいそう綺麗で、色彩に満ちている。演奏する姿も凛として品がよく、いつもうっとり。












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 日曜日はこれ以上ないほどのお花見日和で、山の貯水池まで足をのばした。新芽が顔を出した木々に桜が混じり、山はうす紅がかった柔らかな灰色を帯び、午睡から醒めたばかりのようにぼんやりした表情をしている。












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 もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし

 百人一首に残る前大僧正行尊のこの歌を知ってから、私はとりわけ山桜が好きになった。渋いガキだったじゃん! 今年も会えたね、山桜。













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 願わくば、桜に送られて逝きたい、と琵琶の先生と話していた。あまりに常套句ではあるが、やはり日本人にとって桜は特別な花なのだと思う。
 冬枯れの木から、一気に花を咲かせ、惜しむ間も与えないほど散り急ぐ。そしてまた、必ず巡って来る花、その美しさも決して裏切ることはない。時と共に遠のき、しかしいつも「そこに在る」もの、日本人はみな、桜の中にそれぞれの故郷をうつし見ているのだと思える。







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