恋する能楽レクチャー

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「たかさき能を楽しむ会」主催のレクチャーに行ってきた。講師は観世流能楽師小島英明氏、テーマは能劇に出てくる恋する女性、今回は「葵上」、「野宮(ののみや)」のシテ、六条御息所を取り上げた。
 源氏物語には光源氏と逢瀬を重ねるたくさんの女性がいるが、六条御息所は位の高い家に生まれ、東宮の妃であった高貴な女性、年下の光源氏との恋にのめり込みすぎて生霊となり、彼の妻や恋人を憑り殺す強烈なキャラクターで有名だ。
 林真理子著「六条御息所 源氏がたり」という小説を読んだことがある。なかなか面白かった。それによれば、気品、教養、知性と美貌を兼ね揃えた都一の女性というのは六条御息所であり、光源氏と関係を持った女性の中で身分で太刀打ちできるのは藤壺中宮ぐらい、それでも教養、知性となると六条御息所の方が上、というものらしい。とかく嫉妬に狂ったイメージばかりが先行するが、実際のところはそういうことかも知れない。「葵上」「野宮」のハイライト部分動画を見た。緋の袴をまとった「野宮」の六条御息所は、素晴らしく高貴で美しく見えた。

 能面は観阿弥・世阿弥から受け継いだものをいまでも使っていたり、装束には江戸時代初期のものもあったりするという。いかんせん消耗品だから、修復などはどうしているのか小島氏に聞いてみた。もちろん専門の職人がやっているが、当時の日本人は小柄で、身長180cmの小島氏などが着るものは複製を作ってもらうしかなくなる。だが、現代の技術ではとても完璧な再現はできないという。
「やっぱり、見て違いがわかっちゃいますね。昔の物の方が絶対いいです」とのこと。

 今度「野宮」を見に行こうかな。ほんの少し俯いただけで喜びが孤独に、慟哭が諦めの表情になる能面。日本てなんか、すごい蓄積のある国だ。深い!


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